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★2006/12/08 (Fri)

neko.jpg

 

猫は言いました。

「どうやら人間という生き物は、生きる目的が死ぬことであるということを知らないらしい。僕達が日々死に向かって努力しているというのに、人間ときたら、どうやって生きればいいかということばかり考えている。そのうえ死を怖がるときたもんだ。死ぬためには生きねばならぬ。僕達は自殺なんてしないからね。死ぬために子供を作り、死ぬために食事を食べ、死ぬために寝る。僕達は眠いから寝てるんじゃない。死への予行練習として寝ているんだ。そのへんをどうやら、人間は誤解をしている。だから黙って、エサを出してくれればいいんだ。」

鼠は言いました。

「どうやら猫という生き物は、生きる目的などは何もないということを知らないらしい。僕達は何も目指していない。ただ生きているだけだ。そこにドブがあるから泳ぐ、そんな簡単なことなんだ。ただ生きる、ということは、ただ死ぬということと同じだ。死ぬことも生きることも、区別も境界線も縄張りも何もない。だから僕達は、ただ生きる。ただ生きる。ただ生きる。ただ死ぬ。ただ死ぬ。ただ死ぬ。エサなんていらないよ。そこにあったら勝手に食べるから。空気なんていらないよ、なくても死ぬだけだから。僕達はどこだってなんだっていいんだ。」

 

鼠と猫と

人間。

 

人間は言いました。

 

どうやら、僕達の生きる目的というのは

誰かが決めたらしい。

 

僕達は

 

生きているんじゃなくて、生かされているんだ。

 

自由意志なんて存在しない。

 

目的を知ることもない。

 

 

僕達は

 ただ死ぬだけなのに

 死ぬために生かされて

 その上、生きることを強要される。

 

だから

 食事とSEXと睡眠が与えてくれるものが僕達にとっては生きるすべてであるように思えるのは

 間違いではなかった。

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